
画像アノテーションの種類と使い分け|物体検出・骨格推定・領域分割
画像アノテーションを外注しようとして、見積依頼の段階で止まってしまうことがあります。「どの種類で作ればいいのか」が決まっていないと、件数も費用も出せないからです。
種類の選び方は、精度と工数のトレードオフで決まります。この記事では、画像アノテーションの4つの種類と、どれを選べばいいのかの判断順序、費用がどこで変わるのかを整理します。
目次
結論:4種類あり、選び方は「必要な精度」で決まる
画像アノテーションとは、画像に写っているものに正解ラベルを付け、AIが学習できる形にする作業です。実務で使われる形式は、大きく4つに分かれます。
| 種類 | 付ける情報 | 1件あたりの作業時間 |
|---|---|---|
| 画像分類 | 画像1枚に1つのラベル | 最も短い |
| バウンディングボックス | 対象を四角で囲む | 短い |
| キーポイント | 関節などの点を打つ | 中(点の数による) |
| セグメンテーション | 輪郭に沿って塗り分ける | 最も長い |
アノテーションそのものの意味や、画像以外のデータ種別も含めた全体像はアノテーションとは|意味・種類・作業の進め方で解説しています。
下にいくほど情報量が増え、AIの精度は上がります。しかし作業時間も比例して増えます。セグメンテーションはバウンディングボックスの数倍かかります。
つまり選び方は「精度が高いほうがいい」ではなく、「そのAIが判断するために、最低限どこまでの情報が必要か」で決まります。過剰な形式を選ぶと、費用も期間も無駄に膨らみます。
画像アノテーションの4つの種類
バウンディングボックス(物体検出)
対象を長方形で囲み、クラス名を付けます。「画像のどこに何があるか」を学習させる、最も一般的な形式です。人物検出、車両検出、商品棚の在庫確認など、用途が広く、作業効率も高いのが特徴です。
迷ったらまずこれを検討します。「対象の位置がおおよそ分かればいい」なら、これで足ります。具体的な作成手順はYOLO 学習データの作り方で解説しています。
YOLOの学習データの作り方|アノテーション手順とPoCの始め方YOLOの学習データの作り方を5ステップで解説。ラベル形式の書き方、クラス設計、アノテーション作業でつまずく3つのポイント、少量から始めるPoCの設計、外注する場合の費用相場まで、これから物体検出を始める方向けにまとめました。annotation-support.com
セグメンテーション(領域分割)
四角ではなく、対象の輪郭に沿ってピクセル単位で塗り分けます。形状そのものを学習させたいときに使います。
医療画像での病変領域の特定、建設現場での配筋の判定、農業での作物と雑草の区別など、「どこまでが対象か」を正確に知る必要がある用途で選ばれます。四角では背景が混ざってしまう場面が該当します。
ただし作業時間は最も長く、単価も高くなります。セグメンテーションアノテーションのやり方で詳しく説明しています。
セグメンテーションアノテーションの作り方|医療画像・自動運転での使い分けとPoCの始め方セグメンテーションアノテーションの作り方を5ステップで解説。バウンディングボックスとの違い、内製と外注の判断基準、PoCの始め方まで実務目線でまとめました。単価・全量検収体制も公開しています。annotation-support.com
実例として、ピクシーダストテクノロジーズの配筋検査支援AIでは、配筋の種類ごとに色分けするセグメンテーションを6名体制で実施しました。社内でアルゴリズム開発と並行した場合は約4ヶ月かかる見込みでしたが、2ヶ月で完了しています。
建設現場DXのAIを大量データ作成で加速ピクシーダストテクノロジーズの配筋検査支援DX「TOTTARROW」認識AIの導入事例。配筋を色分けする高品質アノテーションを6名体制で担い、依頼を2ヶ月で完了。社内エンジニア約2ヶ月分の工数を削減し、開発チームをアルゴリズム開発に集中させました。annotation-support.com
キーポイント(骨格推定)
関節や特徴点に点を打ちます。人物なら肩・肘・手首・腰・膝といった位置を指定し、姿勢や動作を学習させます。
スポーツのフォーム分析、作業員の危険動作の検知、リハビリの動作評価などで使われます。人物以外にも、製品の特定部位や動物の姿勢推定に応用できます。
1点あたりの単価は最も安いものの、1つの対象に十数点を打つため、総額では見積もりが読みにくい形式です。何点打つかを先に決めておく必要があります。
画像分類(クラス分類)
画像1枚に対して1つのラベルを付けます。位置情報は持ちません。「良品か不良品か」「屋内か屋外か」といった判定に使います。
最も単純で速い形式です。位置を特定する必要がないなら、これで十分なケースは多くあります。物体検出を選ぼうとして、実はクラス分類で足りた、という取り違えは実務でよく起きます。
対応している種別や事例は画像・動画アノテーションのページにまとめています。
どう使い分けるか|判断の順序
次の順に自問すると、必要な形式が絞れます。
- 位置を知る必要があるか。 不要ならクラス分類で足ります。ここで多くの案件が終わります。
- おおよその位置で足りるか。 足りるならバウンディングボックス。数を数える、混雑を測る、といった用途はここです。
- 形状まで必要か。 面積を測る、境界を正確に判定する、といった場合はセグメンテーション。
- 姿勢や動作を見たいか。 その場合はキーポイント。
1つの案件で複数の形式を組み合わせることもできます。 たとえば「人物をバウンディングボックスで検出し、検出した人物の姿勢だけキーポイントで取る」といった設計です。全対象に最も重い形式を適用する必要はありません。
動画を扱う場合は、フレームを切り出したうえで同じ考え方を適用します。詳しくは動画アノテーションのやり方をご覧ください。
費用はどこで決まるか
画像アノテーションの費用は、「単価 × 数量」で決まります。ここでいう数量は画像の枚数ではなく、ラベルの数です。1枚に20人写っていれば20ラベルになります。
アノサポでは単価を公開しています。
| 種類 | 単価(税別) |
|---|---|
| Bbox(物体検出) | 6円〜/ラベル |
| キーポイント(骨格推定) | 3.5円〜/点 |
| セグメンテーション | 25円〜/領域 |
初期費用・月額固定費・ディレクション費は0円で、作成したデータの実費のみです。単価が動くのは、対象の重なり、判断の曖昧さ、クラス数の多さ、納期といった条件です。詳しくは料金ページに掲載しています。
見積依頼のときは、「画像が何枚あるか」より「1枚に対象がいくつ写るか」「どの形式で作るか」を伝えると、精度の高い金額が返ってきます。条件が固まっていない段階でも、無料のお見積りで当たりを付けられます。
自作でつまずく3つのポイント
1. ラベル設計を決めずに始める
「対象が半分隠れているときは付けるのか」「画面の端で切れているものはどうするか」「小さすぎるものは無視するか」——これらを決めずに始めると、作業者によって基準がばらつきます。あとから統一しようとしても、全件見直しになります。
2. 形式を過剰に選ぶ
「精度が高いほうがいいだろう」とセグメンテーションを選び、実際にはバウンディングボックスで足りていた、というケースです。単価が4倍以上違うため、影響が大きい失敗です。まず小さく試して、必要な精度を確かめてから決めるのが安全です。
3. 検品の基準を決めていない
全件を確認するのか、一部を抜き取るのか。どこまでのズレを許容するのか。ここが曖昧だと、納品後に「思っていた品質と違う」という話になります。アノサポではサンプリング検品ではなく全量検収を行い、品質一貫性99.7%を維持しています。
内製と外注の使い分け
画像アノテーションは、段階で切り替えるのが現実的です。
- 検証段階:内製が向いています。どの形式が必要かを探っている最中なので、手元で試したほうが速く進みます。
- 量産段階:外注が向いています。形式が固まったあとは、工数がそのまま人手の量になるため、内製だと開発メンバーの時間を消費し続けます。
アノサポでは納品後1年間、合意した仕様に対する当社起因の不備を無償で修正します。依頼先の選び方はアノテーション代行の選び方で整理しています。
アノテーション代行の選び方|費用相場・比較ポイント・発注前チェックリストアノテーション代行会社の選び方を、費用相場・比較ポイント7つ・発注前チェックリストで解説。単価だけで選ぶと総額が高くなる理由、クラウドソーシングとの違い、内製との使い分け、小さく試す手順まで。初期費用0円・全量検収。annotation-support.com
いきなり全量を出す必要はありません。まずは実データ10〜50件程度を無料トライアルで試し、品質を確認してから進められます。本発注も50〜100件程度のPoCから対応しており、最低発注数の縛りはありません。
音声データを扱う場合は種類の考え方が変わります。文字起こし・話者分離・感情ラベルの選び方は音声アノテーションとはをご覧ください。
よくある質問
Q. どの種類を選べばいいか分かりません
「位置情報が必要か」「おおよその位置で足りるか」「形状まで必要か」の順に考えると絞れます。判断がつかない場合は、実データを見せていただければこちらから形式をご提案します。要件が固まっていない段階でのご相談も歓迎です。
Q. 画像アノテーションの費用はいくらですか?
Bbox(物体検出)は1ラベル6円〜、キーポイントは1点3.5円〜、セグメンテーションは1領域25円〜です。初期費用・月額固定費は0円で、費用はラベル数によって決まります。画像の枚数ではない点にご注意ください。
Q. 複数の形式を混ぜて依頼できますか?
はい。「人物はバウンディングボックス、そのうち特定の人物だけキーポイント」といった組み合わせも可能です。全対象に同じ形式を適用する必要はありません。
Q. 何枚くらい必要ですか?
検出したい対象の種類数と、撮影条件のばらつきによって変わります。まず少量で試し、精度を測ってから必要枚数を判断するのが確実です。最初から枚数を確定させる必要はありません。
Q. 少量から試せますか?
はい。実データ10〜50件程度を実際の制作チームが無料でアノテーションし、品質を確認いただいてから本発注に進めます。本発注も50〜100件程度のPoCから対応しています。
まとめ
画像アノテーションには、画像分類・バウンディングボックス・キーポイント・セグメンテーションの4種類があります。下にいくほど精度は上がりますが、作業時間と費用も増えます。
選ぶ基準は「精度が高いほうがいい」ではなく、そのAIが判断するために最低限どこまでの情報が必要かです。位置が不要ならクラス分類、おおよそで足りるならバウンディングボックス、形状まで必要ならセグメンテーション、姿勢を見るならキーポイント。この順に絞れます。
そして、最初に形式を確定させる必要はありません。小さく試して必要な精度を確かめてから決める——これが最も失敗しにくい進め方です。
まずは無料で、あなたのデータで品質をお確かめください。

