
セグメンテーションアノテーションの作り方|医療画像・自動運転での使い分けとPoCの始め方
「バウンディングボックスで物体検出モデルを動かすところまでは進んだけれど、境界がラフで実運用の精度に届かない」——セグメンテーションの検討は、多くの場合そんな壁にぶつかったタイミングで始まります。医療画像で腫瘍の輪郭を正確に捉えたい、自動運転で走行可能な領域をピクセル単位で判定したい。そうした要件になると、Bbox(矩形)では足りず、対象の輪郭そのものをラベリングする「セグメンテーション」が必要になります。
この記事では、セグメンテーションアノテーションを作る5つのステップと、自作でつまずきやすいポイント、そして「まず何をどこまで試すべきか」というPoCの考え方までを、実務目線で解説します。
目次
結論:セグメンテーションが必要になるのはこんな時
結論から言うと、セグメンテーションが必要になるのは「物体の位置」だけでなく「物体の形そのもの」が精度に直結する場面です。代表的なケースは次の3つです。
- 医療画像診断支援:腫瘍・臓器・病変の輪郭を正確に把握する必要がある
- 自動運転・ADAS:走行可能領域、車線、歩行者の輪郭をピクセル単位で判定する必要がある
- 外観検査・製造業:不良箇所の形状・面積を測定する必要がある
逆に言えば、「物体がどこにあるか」が分かれば十分な用途(在庫のカウント、単純な検知アラートなど)であれば、Bboxで十分なケースも多くあります。まずは自分たちの用途がどちらに該当するかを見極めることが、遠回りを避ける第一歩です。
バウンディングボックスとセグメンテーションの違い
両者の違いを表で整理します。
| 項目 | バウンディングボックス(Bbox) | セグメンテーション |
|---|---|---|
| ラベルの形 | 矩形(4点) | ポリゴン・ピクセル単位のマスク |
| 取得できる情報 | 物体のおおよその位置・大きさ | 物体の正確な輪郭・面積・形状 |
| 作業時間の目安 | 短い | Bboxの数倍〜十数倍かかることが多い |
| 単価目安(当社の場合) | 6円〜/矩形 | 25円〜/領域 |
| 向いている用途 | 検知・カウント・簡易トラッキング | 医療画像診断・自動運転・外観検査 |
単価だけを見るとセグメンテーションは高く感じますが、これは境界を1点1点きれいに描画する分、作業工数がかかるためです。用途に対してオーバースペックな精度を発注してしまうとコストが膨らむため、「本当にピクセル単位の精度が必要か」を事前に見極めることが重要です。
セグメンテーションアノテーションを作る5つのステップ
ここでは、実務でセグメンテーションのデータセットを作る際の標準的な流れを5つのステップで解説します。
1. データを集める
まずは対象となる画像・動画を収集します。医療画像であれば撮影機器や施設によって画質・角度がばらつきやすく、自動運転であれば天候・時間帯・地域による見え方の違いを考慮する必要があります。学習後に精度が出ない原因の多くは、このデータ収集段階での「多様性の不足」にあります。
2. クラスとアノテーション仕様を決める
次に、「何を」「どこまで」ラベリングするかを定義します。ここでつまずきやすいのが、クラスの境界の曖昧さです。例えば「歩行者」と「自転車に乗った人」を別クラスにするか、隣接する物体同士の境界線をどう扱うか(一部重なりを許容するか、隙間を空けるか)といったルールを、作業前に明文化しておく必要があります。仕様が曖昧なまま作業を始めると、後から全件見直しになるケースも珍しくありません。
3. アノテーション作業を行う
仕様が固まったら、実際にポリゴンやブラシツールを使って輪郭を描画していきます。近年はSAM(Segment Anything Model)のような半自動ツールで下描きを作り、人間が修正するワークフローも一般的になってきています。ただし半自動ツールの出力をそのまま採用すると、境界の精度にばらつきが出やすいため、最終的な検品体制は必須です。
4. 形式変換・データ分割
作業後は、学習フレームワークに合わせてデータ形式を整えます。セグメンテーションでは、COCO形式のポリゴン座標やマスク画像(PNG)としてアノテーション結果を保存するのが一般的です。あわせて、学習用・検証用・テスト用にデータを分割します。
5. 学習・評価し、データに戻る
データが揃ったらモデルを学習し、IoU(Intersection over Union)などの指標で評価します。精度が思うように出ない場合は、モデル側だけでなく「どのクラスの境界が曖昧だったか」「どのシーンでデータが不足していたか」をデータ側にも立ち返って確認することが、精度改善の近道になります。
自作でつまずく3つのポイント
セグメンテーションを内製で進めるチームが、実際によくつまずくポイントを3つ紹介します。
- 境界の揺れ:作業者によって輪郭の描き方にばらつきが出やすく、複数人で作業すると一貫性の担保が難しくなります
- 検品コストの見落とし:作業そのものより、後工程の目視チェック・修正に想定以上の時間がかかるケースが多くあります
- エンジニアの本業時間が溶ける:本来モデル開発に充てたい時間が、地道なラベリング作業や仕様調整に取られてしまいます
いずれも、セグメンテーションが「1件あたりの作業が重い」作業種別であることに起因します。すべてを外注すべき、という話ではありませんが、これらの負荷を織り込んだうえで内製・外注を判断することをおすすめします。
小さく始める、PoCという考え方
「全何領域必要か」をいきなり厳密に見積もるのは簡単ではありません。まずは50〜100件程度の小さなデータセットでPoC(概念実証)を行い、モデルの精度傾向とアノテーション仕様の妥当性を確認してから、本格的なデータセット構築に進むのが現実的な進め方です。データ収集・前処理から着手が必要な場合も、この段階でまとめて設計しておくと後工程がスムーズになります。
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内製と外注、どう使い分けるか
内製と外注、それぞれに向いているケースを整理します。
| 観点 | 内製が向くケース | 外注が向くケース |
|---|---|---|
| データ量 | 少量・単発 | 継続的・大量 |
| 仕様の機密性 | 極めて高い場合 | NDA・案件ごとのチーム分離で対応可能 |
| エンジニアの稼働 | 余裕がある | モデル開発に集中させたい |
| 品質の一貫性 | 作業者管理の仕組みが必要 | 全量検収・品質管理体制が前提 |
アノサポでは、画像・動画アノテーションとしてセグメンテーションに対応しており、サンプリング検品ではなく全量検収を行っています。品質一貫性は99.7%、納品後1年間は当社起因の不備を無償で修正します。初期費用・管理費は0円で、完全従量課金・最低発注数もありません。データが手元にない場合は、収集・前処理から一括で相談することも可能です。単価の詳細は料金ページでご確認いただけます。
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なお、物体検出(Bboxベース)のアノテーションについては、こちらの記事で手順を詳しく解説しています。YOLOの学習データの作り方|アノテーション手順とPoCの始め方
YOLOの学習データの作り方|アノテーション手順とPoCの始め方YOLOの学習データの作り方を5ステップで解説。ラベル形式の書き方、クラス設計、アノテーション作業でつまずく3つのポイント、少量から始めるPoCの設計、外注する場合の費用相場まで、これから物体検出を始める方向けにまとめました。annotation-support.com
外注先の選定基準や費用相場の見方は、アノテーション代行の選び方|費用相場と比較ポイント7つで詳しく解説しています。
よくある質問
Q. セグメンテーションとバウンディングボックス、どちらを選べばいいですか?
物体の位置さえ分かれば十分な用途(検知・カウントなど)であればBboxで十分です。輪郭や面積など、物体の形状そのものが精度に直結する用途(医療画像診断、自動運転の走行可能領域判定など)ではセグメンテーションが必要になります。
Q. セグメンテーションの最低発注数はありますか?
ありません。PoCとして50〜100件程度からご相談いただけます。
Q. 無料で試すことはできますか?
はい。実データの一部(10〜50件程度)を実際の作業体制でアノテーションし、品質をご確認いただいたうえで本発注に進めます。
Q. SAMなどの半自動ツールを使えば内製でも十分な品質になりますか?
下描きの効率化には有効ですが、境界精度にばらつきが出やすいため、最終的な検品体制は別途必要です。全量検収の仕組みがない場合、品質のばらつきに気づきにくい点に注意が必要です。
Q. データの取り扱いは安全ですか?
ISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得しており、データは非保持・非ローカル(クラウドのみ)で運用しています。全スタッフとNDAを締結し、案件ごとにチームを分離、完了後はデータを物理削除します。自社のAI学習に流用することもありません。
まとめ
セグメンテーションは、Bboxでは足りない「形状の精度」が求められる場面で必要になる技術です。データ収集からクラス仕様の設計、作業、形式変換、学習・評価までの流れを押さえたうえで、まずは小さくPoCから始めることが遠回りを避けるコツです。内製・外注いずれの場合も、境界の一貫性と検品体制がデータ品質を左右します。
まずは無料で、あなたのデータで品質をお確かめください。


